税理士事務所で8年、会社の経理で9年。私はそのあいだ、ずっと弥生会計を使ってきました。
税理士事務所にいた頃は、担当するお客さんの会計ソフトも全部、弥生会計。正直なところ、ほかの会計ソフトに乗り換える日が来るとは、あまり思っていませんでした。
そんな私が、2026年に勤務先(従業員50人ほどの会社)の会計ソフトを、マネーフォワード クラウド会計に切り替えました。
使ってみて「これはすごい」と思ったことも、「ここは弥生会計のほうが良かったな」と思ったことも、両方あります。この記事では、その両方を正直に書いてみます。
なお、ここで比べているのは、PCにインストールして使うデスクトップ版の弥生会計と、マネーフォワード クラウド会計です。
乗り換えたきっかけは「APIの全プラン公開」
最初は、知り合いに「マネーフォワード、いいよ」と勧められたのがはじまりでした。ただ、それだけなら、たぶん乗り換えてはいなかったと思います。
決め手になったのは、2026年3月に、マネーフォワード クラウド会計のAPIが全プランのユーザーに公開されたことです。それまでAPIは、一定の条件を満たした士業事務所向けに限られていました。それが全プランに開放されて、仕訳の参照や登録を、外部のプログラムから行えるようになったんです。
実は私、5年ほど前からプログラミングを勉強しています。最近は仕事でClaude Code(AIにコードを書かせたり、作業を任せたりできるツール)も使っています。
「APIが使えるなら、Claude Codeと会計ソフトをつなげられるんじゃないか」
そう思ったら、試さずにはいられませんでした。それで、このタイミングで切り替えることにしました。
メリット:仕訳の登録が「1日」から「1時間」になった
自動化する前、いちばんしんどかったのはチェック
弥生会計で仕訳を入れていた頃、いちばんしんどかったのは、入力そのものよりもチェックでした。
書類を1枚ずつ見て、入力した仕訳と見比べて、また次の書類へ。何がつらいかというと、見落としが怖いんです。経理をしている方なら、この感覚はわかってもらえるんじゃないかと思います。これが、まる1日かかることもありました。
初めて自動で登録されたとき、思わず出たひと言
今は、請求書などの書類をフォルダに入れると、Claude Codeがその中身を読み取って解析し、APIを通してマネーフォワード クラウド会計に仕訳を登録してくれます。
この仕組みで、初めて仕訳が自動で登録されたのを見たとき、思わず出たのがこのひと言でした。
「これはとんでもないことや」
人が目で見て入力していた頃とは、処理の速さがまったく違います。1日かかっていた作業が、1時間ほどで終わることもあります。
それでも、金額と勘定科目は自分の目で見る
とはいえ、AIに丸投げしているわけではありません。金額と勘定科目だけは、必ず自分の目で確認しています。
あれだけ怖かった見落としも、今はあまり心配していません。最初にきちんと設定しておけば、問題なく動いてくれるからです。実際、今のところ仕訳の誤りは一度も出ていません。
デメリット:仕訳の修正は、弥生会計のほうが速い
一方で、「ここは弥生会計のほうが良かったな」と思うところもあります。仕訳を修正するときのスピードです。
マネーフォワード クラウド会計では、修正するたびに、画面の切り替えや読み込みを待つ時間があります。クラウドのサービスは、操作のたびにインターネットの向こうのサーバーとデータをやり取りするので、どうしても待ち時間が出てしまいます。PCの中だけで動くデスクトップ版の弥生会計の操作感に慣れていると、ここは正直もどかしいです。
ただ、この待ち時間は、ネット環境やPCの性能にも左右されると思います。あくまで私の環境での感想として読んでください。
それに、修正に少し時間がかかっても、仕訳の登録を自動化できたことを考えれば、全体の作業時間は大きく減りました。差し引きで見ると、私の場合ははっきりプラスです。
データの移行は、拍子抜けするほど簡単だった
乗り換えでいちばん心配していたのは、弥生会計からのデータの移行でした。ところが、やってみたら本当に簡単でした。マネーフォワード側に弥生会計からの移行手順が用意されていて、マニュアルどおりに進めるだけで終わりました。
流れとしては、勘定科目、開始残高、仕訳の順に、弥生会計から書き出したデータを読み込んでいくだけです。詳しい手順は、記事の最後にある参考情報から、公式のページをご覧ください。
乗り換えが向いている会社、向いていない会社
私の経験からいうと、マネーフォワード クラウド会計への乗り換えが向いているのは、AIやAPIを使って経理の作業を効率化したい会社です。仕訳の登録を自動化できれば、得られる効果はかなり大きいと感じています。
反対に、仕訳の数が少ない会社なら、無理に乗り換えなくてもいいと思います。自動化で減らせる作業がそもそも少ないので、使い慣れた弥生会計の速さのほうが、毎日の仕事では助かるかもしれません。
おわりに
乗り換えて、よかったと思っています。
AIとつなぎやすくなったこと。データを分析しやすくなったこと。長年弥生会計を使ってきた私にとっては、どちらも大きな変化でした。
これからも、身近なところから少しずつ自動化していくつもりです。その様子も、このブログで書いていきますね。